5月25日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
地方銀行下位の九州親和ホールディングス(HD、長崎県佐世保市)は24日、自力再建を断念し、傘下の親和銀行(同)を10月をめどにふくおかフィナンシャルグループ(FG、福岡市)に売却した上で解散手続きに入ると発表した。売却益を活用して、注入されている公的資金を完済するが、一般株主は損失を被る公算が大きい。
九州親和HDは9月上旬に臨時株主総会を開いて解散を決議する。10月にも上場が廃止される。親和銀は、ふくおかFGの完全子会社となる。
両社は今月上旬に経営統合の検討を発表していたが、その後の協議の結果、九州親和HDの解散となった。
関係者によると、ふくおかFGへの親和銀売却額は700億円程度に上る見通しで、九州親和HDは公的資金として国が持つ優先株300億円(簿価ベース)の全額を完済する計画。一方、一般株主は残りの売却益などで返済を受けるが、返済額は株式取得時の価格を下回るとみられる。
九州親和HDが解散しても、親和銀の店舗や営業網は維持されるため、預金者は店頭や現金自動預払機(ATM)などで通常通りのサービスを受けられる。深刻な経営難に陥る前に親和銀を売却することで、地域金融システムの安定化につなげる狙いもあるようだ。
ふくおかFGと九州親和HDの経営統合は、景気拡大に伴い好調な業績を続ける金融機関がある一方、不良債権処理が進まず体力が弱った金融機関も存在するという、地域金融機関の優勝劣敗が鮮明になってきたことが背景にある。
体力に勝る地域金融機関は主導権を握って規模を拡大するチャンスとみている。また、金融庁も経営難の地銀に対する厳格な検査を通じ、地域金融機関の再編を後押しする構えをみせている。
今回の再編では、一般の株主も損害を被り、株主責任を問われることになるが、解散という新たな選択肢が取られたことで、投資家の地域金融機関に向けられる目は一段と厳しさを増すことになりそうだ。
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